【中小企業診断士】企業経営理論の組織構造論のまとめ

中小企業診断士

こんにちはKamiyan(@kamiyan_study)です!

今回も前回に引き続いて,企業経営理論です。

組織構造論について,一次試験勉強で頻出論点をまとめたいと思います。

組織論ですが,他に組織行動論と人的資本管理の章に分かれています。

これら二つを同じ記事にすると大変な分量になりますので,今回は組織構造論に絞ってまとめていきますね!

かみやんさん
かみやんさん

まとめる作業も大変だったりするんだよ笑

そして前回と同様に二次試験を意識した学習のために,必要な知識の紐づけについても散りばめていきます。

効率の良い勉強方法の助けになると思いますので,是非最後まで読んでいただければと思います。

それではよろしくお願いします!

体系図参照元:TAC基本講義テキスト2022年度合格目標

組織の概念と均衡条件

この章ではバーナードによる組織の3要素に絞ります。

このバーナードの3要素はR3年でばっちり出ていますが,二次試験での切り口になる可能性がありますので説明しますね。

この3要素は

組織としてうまく機能できているかをチェックする際の切り口

として覚えておきましょう。以下3点です。

共通目的・貢献意欲・コミュニケーション

の3つになります。一次試験ではこれら3つの要素を選ぶ程度なので,ただ暗記をすればよいのですが,二次試験では違います。

これら3つの要素について説明できるレベルまでなっておきましょう。

以下に説明を記しておきますので是非ご確認ください。

共通目的
従業員に経営理念,経営目標,長期ビジョンが納得されているか

貢献意欲
従業員のモチベーション(動機付け)とモラール(士気)

コミュニケーション 
社員間のコミュニケーションだけでなく,社長から社員に対するコミュニケーションも含む。またナレッジマネジメントによる情報共有化も当てはまります。

ナレッジマネジメントとは
従来個人が持っていた暗黙知(ベテランの経験知識や熟練工のスキルなど)を企業内で共有して企業全体の生産性や競争力、企業価値を高めていく経営手法のこと

暗黙知については最近の二次試験事例Iでも論点となりましたので,馴染みのある方も多いと思います。

ひらめきくん
ひらめきくん

この機会に是非覚えておきましょう!

組織構造の設計原理

これもH29にばっちり出ている論点で非常に大事です。二次試験の切り口にもなり得ますのでまとめます。

組織の原則

ここでは組織の編成や組織を管理する上での基本的な4つの原則を覚えておきましょう。

以下4点です。

専門化の原則
単一の仕事に従事させて,従業員の専門性を磨かせよう

権限・責任一致の原則
持たせる権限と取らせる責任は同じレベルにしよう

統制範囲の原則(スパン オブ コントロール)
能力に見合った部下の数にしよう

命令一元化の原則
上司は1人にしよう

二次試験での与件分を読む際に,事例企業の組織の改善点を指摘するための切り口となるかもしれません。是非押さえておいてください!

また,専門化と関連した用語として公式化・標準化の2つがあります。

織としては,従業員に専門性を磨いてもらったら,その知識を後世に残すためにも文書化するなり,標準的なやり方として残してもらうなり,までやってもらうことが必要になります。なぜならその人が退職・退社された後,知識や技術が伝承されていなかったら困るからです。

したがって前章で説明した,特定の人の頭の中だけにある暗黙知を,みんなが言葉や文書で理解できるようになった状態の形式知にしておかないといけない訳ですね。そのどういった形の形式知とするかが,①やり方が決まっている程度であれば標準化②文書化までされていれば公式化,と使い分けるイメージです。

少しややこしい部分だと思いますので理解の一助になれば幸いです。

組織における意思決定

会社は色々な役職の人がいますが,立場によって意思決定の重要度・レベルが異なる,という論点です。

端的にまとめますと,上から順に

戦略的意思決定 by 取締役・執行役員
会社の将来の成長戦略を考える意思決定。毎日行う意思決定とはならない。ここでの決定が全社的に広まっていく。

管理的意思決定則 by 部長・課長
戦略的意思決定を実行するために必要な配員や予算を調達するための意思決定。

業務的意思決定 by 係長・主任
管理的意思決定によって割り当てられた仕事を行う中で,業務効率や収益性を上げるために行う意思決定。基本的に毎日行う作業の中で生じる意思決定プロセスになる。

になっています。どんな立場の方が行うのかも一緒に覚えてください。

ひらめきくん
ひらめきくん

皆さんの会社ではどなたが当てはまりますか?

組織構造の形態

組織構造は皆さん重要論点と理解されていると思います。

しかし実際は,一次試験ではR3年の前はH29での出題となっており,頻出というわけではないんです。

一方で,この組織構造は二次試験では頻出論点です。したがって,各組織構造についてメリットとデメリットが自分で説明できるレベルまで理解しておきましょう。

機能別組織
  • 専門性の発揮
  • 規模の経済
  • 組織の統制がとりやすい
  • トップの負荷が大きく意思決定が遅い
  • 全社的な管理ができる人財の育成が困難
事業部制組織
  • トップが戦略に専念可能
  • 現場の状況に即応可能
  • 次世代管理職の育成
  • 機能重複により高コスト
  • セクショナリズムで全体最適が図りにくい
  • 短期的判断に陥りがち

セクショナリズムは自分の事業部だけ良ければ良い,という考え方ですが,その解消のための施策についても重要です。

セクショナリズム解消法
  • 部門間の人事交流
  • 情報共有の機会設定
  • プロジェクト組織の組成

が挙げられます。こちらも助言案として引き出しの中に入れておきましょう!

マトリックス組織
  • 人的資源・情報の共有
  • 範囲の経済
  • 機能別組織と事業部制の両方のメリットを享受
  • ワンマンツーボスによる指示系統の混乱
  • 管理者による権力争い

組織のライフサイクル

組織が誕生してから成長を経て衰退していく過程が「組織のライフサイクル」です。

以下4ステージに分かれることを覚えておきましょう。

組織のライフサイクル
  • 起業者段階

    スタートアップ。誕生期とも呼ばれる。2~3名の学生企業をイメージしても良いかも。経営トップのリーダーシップが重要。組織のルールは度外視。

  • 共同体段階

    新しいメンバーが数人から数十人加わったイメージ。規模が大きくなった分,簡単な権限移譲や分業体制が始まり,リーダーにはより一層強力なリーダーシップが求められる。

  • 公式化段階

    100名程度をイメージ。リーダーシップだけではコントロールできなくなるので,権限の階層化が進み,権限移譲が積極的になる。さらに明確な規律やルールが必要となり,官僚化が進んでいく。過度になると官僚制の逆機能(ルールがガチガチすぎて自分で考えることをしなくなる)が発生する。

  • 精巧化段階

    官僚制の逆機能を克服するために組織構造の動態化を図り,組織の活性化を図っていくことで,成長・発展を目指す。

衰退しないように施策を打っていくのが精巧化段階というイメージです。また,組織の動態化は,組織の再活性化と考えれば良くて,具体的には下のような方策が挙げられます。

  • 組織横断的なプロジェクトチームの結成
  • 社内ベンチャー立ち上げによる新規事業開発
  • 現状組織の大幅な見直しや小組織化への再編

一次試験ではH30に各段階とその特徴の正しい組み合わせを選ぶ問題が出ましたね。

二次試験事例Iで事例企業に助言する際には,以下切り口で見れるようになっておきましょう。

  • 事例企業のいまライフステージはどこか。
  • 今のライフステージから次のライフステージに上がるために必要なこと,また不足していることは何か。
ひらめきくん
ひらめきくん

組織に対する解答となっているかを確実に押さえましょう

外部環境と組織

組織は外部利害関係書と関わり合いながら存続する訳で,その関係を考察したものが組織間関係論といいます。この組織間関係論として,資源依存モデルと取引コストアプローチがあります。

資源依存モデル

外部組織との関係についての選択肢は明らかなものが多いので,特筆することはありません。

組織が外部組織からの資源提供に依存してしまうような状況について,外部組織からの支配を回避する戦略として3つキーワードがあるので覚えておきましょう。

交渉
まずは組織間の財・サービスの取引に関する合意を意図した折衝。(こちらとしては外部組織に資源を依存しているのだから交渉スタート時点の立場は弱いと考えられる)

包摂
自社組織のリーダーシップ構造に外部組織の代表を参加させること。そうすることで自社への不利益行為を行うリスクが低減できることを狙っている。

結託
市場シェア拡大からのデファクトスタンダード(業界標準)をつくる場合など,共通目的のために2つ以上の組織が連合すること。

取引コストアプローチ

この論点は,専ら取引コストの定義について押さえておけばよろしいかと思います。この論点で誤る受験生は大抵取引コストの内容を覚えていないことが原因です。

取引コストとは,

取引することに伴う費用であり,以下4点が含まれる。なお,取引において生じる支払代金は取引コストには含まれない

①取引のための情報収集。分析にかかわる費用
②取引相手の探索・評価にかかわる費用
③取引相手との交渉から契約成立までの費用
④契約成立後の取引相手の管理費用

かみやんさん
かみやんさん

実際,支払代金が含まれないのが一番のポイント

この取引コストが大きくなるのは,

売り手側と買い手側で情報の非対称性が大きい場合

売り手側は製品に対して詳しいが,買い手側がその製品に関して知識が乏しい場合には,買い手側は調べる手間・時間がかかりますね。また売り手側が,自らが有利になるように価格を引き上げている可能性もあるので,そういった駆け引き的行動に対しても注意する必要があります。

そういった状況から,

買い手側は取引コストが高い場合には,取引を内部化する(自社製に切り替える)

ことも選択肢として考える必要がある,というのがこの論点になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

この組織構造論は一次試験では2~3問とそれほど多くないウエイトですが,二次試験事例Iでは頻出論点となります。

是非早い段階に自分の知識として体得してしまいましょう!

次回は組織行動論になります。モチベーション理論,リーダーシップ理論と盛りだくさんですよ~

それではまた!

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