どうもKamiyanです!
今回は2022年1月時点の米国Professional Engineerのライセンス登録についてのご紹介です。Kamiyanが実際に米国PEテキサス州に登録した体験談を書きますので,是非参考にしてください。
他州の登録については,ご自身で調べるべき点もあるでしょうが,この記事を参考にできる点も少なくないと思いますので是非最後まで読んでいってください。
英語表記だと長いモノがあるので以下略称です。
- Professional Engineer = PE
- Texas Board of Professional Engineer = TBPE
- IdentoGOに送る指紋登録書類 = FD-258
- 法科学鑑定研究所 = ALFS
それでは目次です。
登録スケジュール
最初にKamiyanが辿った時間軸をご紹介します。
詳しい中身は後ろの各章で記載していますので概要のみの記載です。
Day | Action |
-14 | SERを作成開始 |
-7 | SERの添削依頼・修正の後,3名のPEからSER・ReferenceへのSignatureを受領。 |
-6 | ALFSにてFD-258指紋採取 |
-3 | NCEESマイページでの職歴登録完了。NCEES用のReferenceも揃う。 |
0 | PE Application form提出。同時にNCEESからTBPEへの情報送付手続きを行う。 |
1 | 国際郵便にてIdentoGOにFD-258を,TBPEに書類一式を送付。 |
6 | TBPEに書類到着 |
7 | IdentoGOにFD-258到着 |
11 | TBPEのMy pageの書類提出状況が更新されていなかったので,Reviewerにメール連絡。 その日中に更新された。 |
17 | IdentoGOからFD-258の登録完了連絡受領。TBPEへの反映には最大7日かかるとのこと。 |
19 | IdentoGOからの情報がTBPEに届き全書類がTBPEに受領された。 |
34 | Administrative review終了 |
41 | Technical review終了。即日でPEライセンス番号発行。 |
43 | ウェブサイトでPEスタンプ発注 |
47 | TBPEに自分の顔写真と電子PEスタンプを送付。 |
48 | 木製ハンコ型PEスタンプが自宅に届く。 |
50 | TBPEより写真とPEスタンプの受理連絡を受ける。 これにて全アクション終了。 |
登録申請
最初にTBPEのウェブサイトから登録申請を行います。
これをしないと,TBPEに書類を送付しても認識してもらえず,最悪再送付の可能性がありますのでご注意を。登録申請が完了するとPE申請番号が与えられます。
米国におけるSSNが無い私はマイナンバーを代わりに入力しました。
ここで注意。
Application feeの支払いは全ての図書の準備が完了してからにしましょう。支払い後何日か以内に全ての図書がTBPEに届かないと追加費用がかかります。ライセンス要件を満たしていれば,登録申請に限ってはいつ開始しても問題ありません。
IdentoGOへの登録申請
TBPEからもらった申請番号を使います。また,Service codeを入力しますので,TBPEのCriminal History Record Checkのウェブサイトで確認しましょう。
指紋採取場所選択画面では米国内しか選択できないことになっており,日本にいる私はどうしたらよいか迷いましたが,「Nearest placeを選びますか?」という質問画面に戻りNoを選んで対応しました。
料金を支払うと,Review informationが記載された書類を印刷できます。この書類と併せて,次の章で説明するFD-258を国際郵便で送付することになります。
私の場合Tennessee州のIdentoGOに書類を送付することになり不安に感じましたが,結果としてTBPEに問題無く情報が伝わりました。
法科学鑑定研究所(ALFS)
FD-258の指紋採取は東京の法科学研究所に依頼できます。指紋採取までのステップは次のようになります。
- ウェブサイトにアクセスし,FD-258の申込画面から料金を支払う。
- 数日後にALFSからメールが届くので,指紋採取日を決め,必要書類を送付する。米国SSNは必要無。
- ALFSに出向き,指紋採取を行う(2時間程度)
- 数日以内にゆうパックでFD-258が自宅に届くので,IdentoGOに国際郵便で送付する。ALFSから直接IdentoGOには送れないので注意。FD-258にもSSNは未記入でOK。
FD-258に手書きで署名する欄があるのですが,パスポートと同じ署名をすること,とありました。ローマ字指名と漢字の対応付けが難しいのでは,と考え,パスポートのコピーも同封してIdentoGOに送りました。
SER (Supplementary Experience Record)とReference
PE登録手続で最も時間がかかり,面倒だと感じるのがこの2つの書類の準備ですね。
SERは職務経歴書で,自分がエンジニアとしてどのような設計業務に携わってきたかを文章のみで記述するものです。Referenceは先輩PEからの推薦書です。どちらも3名のPEから署名をもらうことになります。
この3名のPEを探すのも一苦労ですよね。一緒に働いた経験が無い場合には,自分の職歴について説明する機会も設ける必要があります。私の場合は同じプロジェクトを経験した3名のPEがおりました。
書き方の注意点は専ら,Engineering業務を書く,という点です。
PE登録申請の手引きに明確に書かれている通り,”I designed”,”I calculated”, “I recommended”がEngineering業務にあたります。
“tasks included”, “my duties” “my role”, “in charge of” , “involved in”, “managed”, “responsible for”, “supervised”, “helped”, “worked”などは,TBPEが考えるEngineeringに該当しないようなのでご注意を。
実際に自分が書いたSERを見返してみると,主語が一人称の文章が多く,お世辞にもかっこよい文章とは言えませんでしたが,要求通りに書類を揃えることがポイントです。
SERの枚数は6ページから 12ページが推奨されています。私は6ページで出し,1,060単語でした。
そして大切なのは同僚にNative checkをしてもらうことです。
PEではTOEFLの試験も高い点数を要求されています。(私の場合は上司のサイン付レターにしましたが。)ということはNativeのアメリカ人と同等の表現能力を要求されていて,文章の文法や表現等が間違っていた場合,その時点で審査から落とされる可能性があります。
アメリカの大学卒業レベルの表現力が備わっているかをSERで見られていると思って取り組みましょう。
あとSERの準備でもう1点。
米国PEに登録するということは,TBPEは申請者が今後テキサス州でどのように活躍してくれるかを重視して審査します。従って,アメリカVendorとのやり取りやアメリカでのプロジェクト経験は積極的に記載すべきでしょう。
語学証明書
前章で少し登場しましたが,PEとしては,英語力が当然必要という背景から,「TOEFLのスコア提出」あるいは「上司からの英語能力証明レター」の提出が要求されています。
私はHR部長のサイン付のレターを提出しました。
Ethics exam
TBPEのウェブサイトからEthic examの受験が必要になります。設問数は25問です。23問以上正解で合格となります。何度でも受験可能です。問題も同じです。
ですが解答は無しで得点だけが表示されるため,どこが間違っているかわからないところがクセモノです。
私は20問近くの正解から23問正解まで上げるのに苦戦しました。
NCEESからTBPEへの情報送付
NCEESからTBPEにPE Exam受験結果やその他諸々情報を送ってもらう必要があります。ウェブサイト上で処理は完了しますが勿論有料です。私はPE Application form提出日と同日にアクションしました。どのタイミングで行うべきかについては明記されていませんが,TBPEでのAdministrative review期間中に行えばよいと思われます。
TBPEにSERを提出するのと同時に,何故かNCEESにも職歴を提出する必要があります。私はこのNCEES担当者からのReviewで一度再提出になりました。理由をまとめましたので,参考になさってください。
- Provide job for Minimum of 1 per every 2 years
- Provide the dates that you worked on the project
- Provide project name and location
- Include specific project details such as structure type, structure size, regulation compliance, project duration, and size of project.
- Describe the specific engineering tasks that you performed yourself.
プロジェクトの詳細や場所についてはConfidentialに関わるところもあるでしょうから,ご自身で取捨選択なさってください。Engineering taskについての記載については,SERの章でご説明した通り,ご自身が行ったEngineering業務(”I designed”,”I calculated”, “I recommended”)を書きます。
またここでもReferenceが必要になります。こちらは5名必要で内3名はPEです。私はSERを依頼した3名のPEと,会社の上司2名に依頼しました。内容は非常に簡素なものでした。
さて,ここまでで米国PEライセンス申請に必要な書類準備について記載してきました。
書類が全て揃いReviewerによるAdministrative reviewが終わると現PEによるTechnical reviewに進みます。Technical reviewが終わるとPEとして認められPEライセンス番号が発行されるので,スタンプの作成に進みましょう。
PEスタンプ作成
Technical Reviewが完了しPE登録が完了すると,数日でTBPEからメールが来ます。60日以内に自分の顔写真とPEスタンプをTBPEに送付することを依頼されます。ちなみにこの作業を怠ると罰金になりますのでご注意を。TBPEへはE-mailでの送付が認められています。
私は電子版PEスタンプと木製ハンコ型の2つを購入しました。電子版は注文翌日に,木製ハンコ型は国際便にて注文後1週間以内に届きました。
海外発送になるため,どのような遅延が起こるかもわかりませんし,私は電子版と木製版,両方注文することをお勧めします。
私は次のウェブサイトから作りました。
EIT (Engineering In Training)
私がPE試験を受けたのは2020年です。
PE受験に際しては,TBPEにて,適切な大学を卒業したことを証明するEITを取ることが必要でした。
EITは,TBPEウェブサイト上での手続き申請になります。EITが得られたらNCEESよりPE試験受験許可が下りました。
したがって私の場合,以下3点の書類作成は,PEライセンス申請時に不要でした。
2020年以前にはテキサス州ではEIT制度が存在せず,ライセンス申請時に下の書類を準備する必要があったと理解しています。
PE受験については別記事で書こうとも思いましたが,ここで書類作成についても少し記載しておきます。
EITを得るためには,大きく3点の書類の準備が必要でした。
1) Transcript
2) Credential Evaluation
3) シラバスの英語版
1) Transcript
大学から卒業証明書と単位認定書の2点を”直接”TBPEに送る必要があります。大学の教務に連絡して依頼しましょう。私の場合,国際郵便代の切手を大学に送れば,対応してもらうことができました。
2) Credential Evaluation
TBPEのウェブサイトにはPE受験志願者が受験資格に足る教育を受けてきたか認定する機関が紹介されています。その中で多くの人はNCEES Credential Evaluationを選ぶと思います。このCredential EvaluationはNCEESのウェブサイトから申し込みができます。そして, Credential EvaluationのTBPEへの情報送付もNCEESウェブサイト上で可能です。
1)のTranscriptと同様に,大学から直接NCEESに卒業証明書と単位認定書を送ってもらう必要がありますので,1)と併せて大学に依頼しましょう。
3) シラバスの英語版
シラバスは2)で記載したCredential Evaluationを申し込むにあたってNCEESに送付する資料です。私の大学には英語版のシラバスがありませんでしたので,自分で日本語から英訳しました。
また英訳したシラバスについて,大学からNCEESに送ることは大学が認めなかったため,NCEESの”Contact us”からNCEES担当者に直接英訳したシラバスを送ったと記憶しています。(どのように提出したかの記憶は曖昧です,すみません。)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
米国PEライセンス登録の流れが少しでも伝わっていれば幸いです。
書類作成に2週間,TBPEに書類を送付してからReview終了まで1か月半。
計2か月を目途にしていただければよろしいのではないでしょうか。
SERの作成は大変でしたが,自分のこれまでの職務内容を振り返り,技術的な観点からまとめられた良い時間だったと感じています。
米国PEに登録したのち,この資格を用いてどのようなキャリアを歩んでいくか,について皆さまと共有できる日を楽しみにしています。
それではまた!